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【IT・AI・IoT系の人気書籍】ネット関係のおすすめ本を紹介

2018年1月16日仕事, 学習, 実用

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IT、AI、IOT…新聞、雑誌、ネット記事にはこんなアルフベットだけの文字が多数並ぶようになってきました。」理解できていますか??。今やインターネットを取り巻く技術はあまりに多岐にわたり、覚えきれないですよね。また、そもそもネットやITや機械に苦手意識を持っている方も多いと思います。

そんな方のために、今回は、
IT(インターネット・テクノロジー)」
「AI(人工知能」
「IoT(モノのインターネット)」
「プラットホーム・コンテンツ産業」

などの知識を扱っている、ネットに強くなるためのおすすめ本を紹介していきます。

今回は「専門的な知識が無い人でも読むことができて、なおかつ面白いもの」を厳選して選びました

紹介する本には、それぞれ概要の引用と、私の解説を載せています。

これからの時代を生きていく上で、ITの知見は必須と言ってもいいでしょう。よろしければ、本記事を参考にしていってください!

坂村健『IoTとは何か 技術革新から社会革新へ』

今までの日本のICT(情報通信技術)戦略は、技術で始まり技術で終わることが多く、出口戦略がなく、結果として使われないものになっている。
IoTがその轍を踏まないようにすること、そのためにも哲学が重要なのである――。

「IoT=モノのインターネット」とは何か。何のための技術であり、私たちの社会や生活は、一体どう変わるのか。技術研究開発や社会制度設計、ビジネスや実用の最前線から、豊富な実例をあげつつ、その現状・課題・未来像と、日本への指針を示す!

IoT(internet of thing)」は、モノのインターネットと訳され、あらゆるモノがインターネットに繋がることを意味します。

とは言え、それを想像することはなかなか難しいです。

冷蔵庫にセンサーがついて中に入っているものをスマホでデータ管理できる……くらいげ現在普及している「IoT」ですが、机や衣服や鞄など、様々なものがネットに繋がった世界を、私達は想像できるでしょうか?

著者は、「IoT」のコンセプトを世界で初めて提唱した第一人者であり、30年もの間、この課題に向き合っています。

来るべきIoT社会ビジョンから、技術的にどこまで進んでいるのか、法制度やビジネスモデルの問題まで、深く切り込んでいます。

一度注目されたテクノロジーは、幻滅期、回復期、安定期というステップを経て、社会に普及していくそうです。現状のIoTが今から幻滅期に入ろうとしているという話が面白かったです。

よくある、第一人者が分野のイントロダクションをさらった引き受けたような書籍ではなく、坂村健だからこそ書ける、IoTの本質を見つめるための本です。

「IoT」について知りたいのであればまずは本書から読むべきと断言できる良書です

ジョン・マコーミック『世界でもっとも強力な9のアルゴリズム』

コンピュータを使い物にするアルゴリズムにはどういうものがあるか、今日的な視点から選んだ実際に役立っている9のアルゴリズムのアイデアを、章ごとに掲げてわかりやすく説明した読み物です。

図を多用し、その仕組みをたとえを使いながら見せることに重点を置いています。

著者が選んだ基準は、(1)インターネットでメールやブラウザを利用する一般ユーザーの日常のコンピュータで使われていること、(2)特定の状況や高度のソフトウェアだけに使えるものは除くこと、(3)基本的にコンピュータ・サイエンスの理論に基づくこと、です。

扱っている9のアルゴリズムのテーマは、検索エンジンのインデクシング、ページランク、公開鍵暗号、誤り訂正符号、パターン認識、データ圧縮、データベース、デジタル署名、計算不能性。

普段当たり前のように使われている「アルゴリズム」を、広く普及しているもの9つに絞って、IT技術に詳しくない人でも理解できるように説明したものです。

雰囲気や例え話で説明するものでなく、それがどのように発明され、どのように使われ、どういう仕組みでできているのかをしっかり解説してくれます

Googleの「SEO(検索エンジン最適化)」ときに使われているページランクの仕組み、公開鍵を発行するときにその安全性がどのように担保されているか、一体どうやってデータの圧縮をしているのか、など、普段インターネットに触れているときに使われている技術の本質的なところが理解できます。

本書が素晴らしいのは、ガチの技術書として書かれているのではなく、あくまで「面白い読み物」として出来ているところです

紹介されているアルゴリズムの名前すら聴いたことがない、という人でも、一通り読めば、テクノロジーへの苦手意識がだいぶ薄れると思います。

松尾豊『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』

いま、将棋やクイズ番組など「人工知能vs人間」の戦いがあちこちで起こっている。
2014年の英オックスフォード大学の研究報告では、今後10年から20年ほどで、
人工知能を含むITの進化の影響によって、米国の702の職業のうち約半分が
失われる可能性があると述べている。

最先端の人工知能技術「ディープラーニング」をめぐっては、グーグルやフェイスブックなどが
数百億円規模の激しい投資・人材獲得合戦を展開。
一方で、宇宙物理学者のスティーブン・ホーキング博士や、実業家のイーロン・マスク、
ビル・ゲイツなどが、「人工知能は人類を滅ぼすのではないか」との懸念を相次いで表明した。

そのテクノロジーは、ヒトを超える存在を生み出すのか。
人間の仕事を、人類の価値を奪うのか。

トップクラスの研究者が解きほぐす、「人工知能」の過去・現在・未来

人工知能の第一線にいる研究者による解説書です。

過度に期待を煽ったり、ユートピアやディストピアを提示しているのではなく、「ディープラーニング」という、人工知能の根幹をなす概念と、それによって何が起こるのかの説明がメインです。

付け焼き刃の知識ではなく、本質的な理解と蓄積があるからこそ、ここまで分かりやすく、誠実に書けるのだと思います

今まで人工知能や情報技術を学ばなかった人にもわかるように易しく書かれているので、人工知能がよくわからないなら読む価値はあります。

知的興奮と未来へのワクワク感が味わえる一冊です。

巷にあふれる雑な人工知能論に振り回されないようにするためにも、本書をしっかり読んでおくのがいいと思います。

羽生善治/NHKスペシャル取材班『人工知能の核心』

人間にしかできないことは何か

二〇一六年三月、人工知能の囲碁プログラム「アルファ碁」が世界ランクの棋士を破った。羽生善治は、その勝利の要因を、「人工知能が、人間と同じ“引き算”の思考を始めた」とする。もはや人間は人工知能に勝てないのか。しかし、そもそも勝たなくてはいけないのか─。NHKスペシャル『天使か悪魔か─』の取材をもとに、その先を描く。天才棋士が人工知能と真正面から向き合い、その核心に迫る、“人工知能本”の決定版。

1997年、IBMが開発したチェスをするコンピューターが、当時のチャンピオンを打ち負かしました。

データ量が膨大な「将棋」は、その後も人間のほうが強い時代が続きましたが、2016年、ついに人間の最強棋士が打ち負かされる時代がやってきたのです。

史上初の7つの永世称号の保持者であり、最強の棋士と称されることも多い羽生善治さんは、以前から人工知能に並々ならぬ関心を寄せていました。(AIが最強の棋士になる可能性があるので当然と言えば当然ですが。)

羽生さんがテクノロジーの専門家というわけではないので、正直あまり期待せずに読み始めたのですが、感動してしまう内容でした

羽生さんは言語能力も高く、ちょっと異次元の頭の良さですね。あと、NHK取材班もいい仕事してます。

技術者の解説書ではなく、人工知能について整理された要点と、羽生善治という天才の洞察をまとめた本なのですが、ハッキリ言って最高です!

2017年に発売された本ですが、同じ時代を共有したいのであれば、手にとって読んでみないと損するといったレベルだと思います。

将棋の専門用語などは出てこないので、将棋のルールがわからなくても読み進めることができます。

人工知能の現状がまとめられていて、美意識・倫理・創造性・汎用性など、色んな面から切り込んでいて、興味がなかった人にとっても最良の解説書・入門書になると思います

ルトガー・ブレグマン『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』

オランダの29歳の新星ブレグマンが、「デ・コレスポンデント」という
広告を一切とらない先鋭的なウェブメディアで描いた
新しい時代への処方箋は、大きな共感を呼び、全世界に広がりつつある。

最大の問題は、人間がAIとロボットとの競争に負けつつあること。
その結果「中流」は崩壊し、貧富の差は有史上、もっとも広がる。
それに対する処方箋は、人々にただでお金を配ること、週の労働時間を15時間にすること、
そして国境線を開放することである。
それこそが、機械への『隷属なき道』となる。

まだ20代の新進気鋭の論客が、これから人類が採るべき、テクノロジーに隷属しない道を示しています。

一昔前のテクノロジー系の議論は、新しい技術によってすごいことが起こる、人々はより豊かで幸せになる、という風合いのものが多かったのですが、近年は悲観論が多くなりました。本書も、「どうやって人々がテクノロジーに対抗していくか」という主張がメインです。

テクノロジーは、人々の仕事を増やさずむしろ減らし、さらには、技術をうまく扱える人間と扱えない人間の格差を広げてもいます

現状ですらテクノロジーによって仕事が減り格差が開いているのですが、これからのAIの発展により、さらにその程度はひどくなっていきます。

著者は、それを解決するための手段として「ベーシック・インカム」を掲げています

現在はベーシックインカムの考え方に眉をひそめる人が多いですが、これは50年前、女性に選挙権を与えることを反対した人に近いと、著者は主張します。

本書を読めば、非常に納得感があり、新しい論客と騒がれるだけのスター性がある人物だとも思いました

「なぜ技術は発展し続けているのに、生活が楽にならず労働時間が長いままなのか?」という根本的な問いに答える本であり、テクノロジーを本質的に捉え直すキッカケにもなると思います。

井上智洋『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』

人工知能(AI)が目覚しい発展を遂げています。小説を書いたり、囲碁をしたり、日々ニュースを賑わせています。
また、AIを搭載したロボットも活躍しています。pepperは感情を読み取れますし、ダヴィンチは外科手術をこなしますし、iPhoneに搭載されているSiriは道案内もしてくれます。
このまま技術開発が進んでいくとどうなるのか……? 2045年に起こると噂される「シンギュラリティ」より前、2030年には、AIが人間の頭脳に追いついてしまう可能性があるのです。
ホワイトカラー事務職は真っ先に職を奪われます。医者も弁護士も失業の危機に瀕しています。最大で人口の9割が失業する可能性もあると筆者は推計しています。一部の資本家以外の労働者は飢えて死ぬしかないのでしょうか?

AIによって奪われた労働は、BIで補完しよう! マクロ経済学者である筆者はそう訴えます。BIとはベーシックインカムのこと。社会保障をBIに一元化して、子供から大人まで一律の生活保障を支給するという仕組みです。

AIの未来、資本主義の未来、労働の未来、社会保障の未来まで、気鋭の経済学者が語りつくします!

ITテクノロジー(人工知能、IoT、3Dプリンターなど)が、これからの社会にどのような影響を与え、世の中がどう変わっていくかを予想した本です。

ネットのSNSなどではあらゆる人がこの種の未来予測を投稿していますが、著者は大学で情報処理を学び、経済学の博士号を取得している、経済とネットの両方に強い学者です。

現状の「特化型AI」は、それほど人の仕事を奪うことはありませんが、「汎用AI」が登場することで、一気に人間の仕事が奪われていくと著者は主張します

著者は、人工知能が高度になりすぎて制御不能になってしまうというSF的なパニックを懸念する立場ではなく、むしろ人間の労働が機械によって奪われてしまう問題こそ、喫緊の課題だと考えています。この問題を解決するためには、「BI(ベーシック・インカム)が必要だとのこと。

「既存の仕事が無くなっても人は新しい仕事を開発する」という楽観視はせずに、「機械が仕事を奪う」ことによって生じる問題を真正面から扱った本です。

これからのIT技術と仕事の関係を考える上で、読む価値のある新書だと思います。

ただ、同じようにAIとベーシック・インカムを扱っている、ルトガー・ブレグマンの『隷属なき道』のほうが優先順位は上ですね。

川上量生『鈴木さんにも分かるネットの未来』

いまやネットなしには毎日はありえない.そのネットの世界では何が起きているのか.ネットの世論とは.コンテンツは.国境を越えているのか.書籍やテレビ,新聞を凌駕するのか.そしてリアルとネットの関係は….みずからもパイオニアとして,ネット世界での様々な試みを実現してきた著者が,ネットのいまと未来を活写する.

ネットに強い経営者である川上量生が、ネットにあまり詳しくない鈴木さんに、ネットのことを教えるという趣旨の本です。

鈴木さんとは、株式会社スタジオジブリのプロデューサーである、あの鈴木敏夫さんのことです。

ジブリに修行に行き鈴木さんに師事していた川上量生が、「鈴木敏夫さんにもわかるように」、インターネット業界の過去・現在・未来を語った本になっています。

対談形式の本ではなく、ただ川上量生がひたすら説明をしているのですが、ネットやテクノロジーに詳しくない読者(鈴木さん)に向けて書かれているので、誰が読んでも話している内容は理解できると思います。

ネットの住民やネット世論、コンテンツとプラットホームの関係、インターネットと国境など、様々なことについて語っています。最近流行りのビットコインの話なんかもありますね

ニコニコ動画を生み出し、現在はカドカワの代表取締役社長になっている川上量生ですが、彼のスゴさがわかる一冊だと思います。とにかく内容が面白いです!

ネットに詳しくない人は大変勉強になるし、ある程度コンテンツのことを知っていても、ハッとしてしまうようなユニークで聡明なアイデアに溢れています

アンチも多い川上量生ですが、本書を読む限り、やはりすごい人物だと言わざるを得ません。

角川学芸出版『角川インターネット講座』

全貌をつかみにくい巨大なネット社会を、設計と思想、文化、ビジネス、最新技術など15のテーマで概説。過去に類のない画期的なシリーズ!

■執筆者・代表監修者
【1巻】「インターネットの基礎」 村井純(慶應義塾大学環境情報学部長)
【2巻】「ネットを支えるオープンソース」 まつもとゆきひろ(プログラマー、Ruby設計者)
【3巻】「デジタル時代の知識創造」 長尾真(元京都大学総長、京都大学名誉教授)
【4巻】「ネットが生んだ文化」 川上量生(カドカワ株式会社代表取締役社長、角川アスキー総合研究所主席研究員)
【5巻】「ネットコミュニティの設計と力」 近藤淳也(株式会社はてな代表取締役会長)
【6巻】「ユーザーがつくる知のかたち」 西垣 通(東京経済大学コミュニケーション学部教授、東京大学名誉教授)
【7巻】「ビッグデータを開拓せよ」 坂内正夫(国立研究開発法人情報通信研究機構理事長、東京大学名誉教授)
【8巻】「検索の新地平」 高野明彦(国立情報学研究所教授、東京大学大学院コンピュータ科学専攻教授)
【9巻】「ヒューマン・コマース」 三木谷浩史(楽天株式会社代表取締役会長兼社長)
【10巻】「第三の産業革命」  山形浩生(野村総合研究所研究員)
【11巻】「進化するプラットフォーム」 出井伸之(クオンタムリープ株式会社CEO)
【12巻】「開かれる国家」 東浩紀(思想家、ゲンロン代表)
【13巻】「仮想戦争の終わり」 土屋大洋(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)
【14巻】「コンピューターがネットと出会ったら」 坂村 健(東京大学大学院情報学環教授)
【15巻】「ネットで進化する人類」 伊藤穰一(MITメディアラボ所長)

それぞれの分野に対して一家言あるプロフェッショナル達が、情報社会を生き延びるための知見を語ります

角川学芸出版のプロジェクトで、錚々たるメンツが並んでいますね。

強烈なキャラクター達が、ある意味では教科書的なまとめを意識しながら、自分の得意分野をまとめています。

一部つまらないなと思った著者もいますが(角が立つので誰とは言わない)、総じて言えばかなり良いまとめだと思います。

これ全部に目を通せば、かなりネットに強くなるだろうと思うし、これからの時代、決して無駄にはならない知見が得られると思います。

書籍版とKindle版ではがらりと価格が違って、書籍版が4万円くらい、Kindle版が2万ちょっとですね。けっこう高いです。

ただ、Kindle版のほうは、ときどきセールでものすごく安い価格で売られているので、書籍のセールス期間中はチェックしてみてください。